調食
昨日、某局のニュースショーを見ていたら、制作スタッフの一員である「フードコーディネーター」の仕事の紹介をしていました。いわゆる「消えモノ」担当さん、ということですね。(「調食」なんて言葉はないです。念のため。)
ドラマやバラエティに出てくる食べ物を、いかに美味しそうに見せるか、というのがこの人たちの仕事。
この仕事、美味しそうに食べている姿を見せる」ことではなく「美味しそうに見せる」ことの方が主目的になっている場合も多いようで、場合によっては、食べ物を調理するというよりは、食事サンプルを作ると言った方がいいようなケースも。
まともな方から言うとこんな感じ:
- ブルーベリーアイスの写真を撮るために、爪楊枝を刺したブルーベリーをマッシュポテト(アイスクリームだと照明で溶けちゃうからね)に突き立てる
- エビフライがエビゾリしてしまわないように、串を刺して揚げる
- ビーフステーキの照りを出すために蜂蜜を塗るとともに、鉄板に水を垂らして激しく沸騰させる
- 豆腐を味噌汁の具にしても沈んでしまうため、浮かび上がる比重になるまで味噌汁に食塩を足す(大さじ数杯分)
- 本物のキムチ鍋は派手な赤い色にならないため、トマトジュースで赤くする
後半の二つはさすがにちょっと……と思っていたら、まさにそのタイミングでキャスターいわく:
「こういう撮影に使った食べ物は、終了後にスタッフの皆さんで美味しくいただいているそうですよ」
「蜂蜜を塗って焼いたステーキは、肉が柔らかくなって美味しいらしいですね」
…本当に??
いや、ステーキはまあ良さそうな気もする(でも鉄板に水を垂らした後には相当ぬるくなってるだろうなぁ)けど、「豆腐が浮かぶほどの塩が投入された味噌汁」や「トマトジュースたっぷりのキムチ鍋」を、本当に食べてるの?
(絶対食ってないだろ、てめーら。逆に「ちゃんと食べてる」という免罪符のためだけに食べてるのだとしたらそれもひどい話だ。)
いわゆる「料理写真」の世界ではもっとひどいことが行われるとも聞いたことがある(炭火の煙だと物足りないので殺虫剤の煙を焼き鳥に吹き掛けたり…)ので、それに比べればましなのかもしれない。でも、少なくとも自局のニュースショーで得意気に取り上げるような内容ではないよね。